施設の身体拘束

介護施設の身体拘束(原則禁止の規定・例外の3要件・相談先)

介護施設の運営基準が身体拘束を原則禁止していること、例外が認められる3つの要件、入所前後に家族が施設へ尋ねられること、疑問があるときの相談先を、運営基準と厚生労働省の手引きで確認します。

このページで確認すること

介護施設の運営基準は、緊急やむを得ない場合を除いて、身体拘束を原則として禁止しています。このページは、何が身体拘束にあたるか、例外が認められる3つの要件、入所前後に家族が施設へ尋ねられること、相談先を、運営基準と厚生労働省の手引きで確認します。特別養護老人ホームの基準の条文を例に使い、他の施設類型の条文は個別には確認していません。施設の比較や紹介、個別の施設の適否の判定は行いません。

身体拘束とは

厚生労働省老健局の「介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き」(令和7年3月)は、身体拘束を「本人の行動の自由を制限すること」としています。運営基準上の「身体的拘束等」は、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為です。手引きは、次の11の行為を例として挙げています。あくまで例示で、ほかにも身体拘束にあたる行為があるとしています。

  1. 一人歩きしないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
  2. 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
  3. 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
  4. 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
  5. 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
  6. 車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
  7. 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
  8. 脱衣やオムツはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
  9. 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッド等に体幹や四肢をひも等で縛る。
  10. 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
  11. 自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。

運営基準が定めていること

指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の運営基準(第11条)は、次のとおり定めています。

  • 生命・身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならない(第4項)。
  • 身体的拘束等を行う場合は、態様と時間、その際の入所者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する(第5項)。
  • 適正化のために、対策を検討する委員会を3か月に1回以上開き結果を従業者に周知すること、適正化の指針を整備すること、従業者への研修を定期的に行うことの3つの措置を講じる(第6項)。

ユニット型の特別養護老人ホームの基準にも、同様の禁止が定められています。ほかの施設類型でも運営基準に同種の定めがあると手引きは説明していますが、条文ごとの確認は、このページでは特別養護老人ホームに限っています。

例外が認められる3つの要件

手引きは、緊急やむを得ない場合として身体的拘束等が認められるには、次の3つの要件をすべて満たすことが必要としています。

緊急やむを得ない場合の3つの要件
要件内容
切迫性本人または他の入所者(利用者)等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと
非代替性身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がないこと
一時性身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること

表は横にスクロールできます。

手引きは、これらを本人・家族、本人にかかわっている関係者・関係機関全員で検討、確認し、記録しておくことを求めています。この例外は極めて限定的に考えるべきで、3つの要件を満たすケースは極めて少ないとしています。また、緊急やむを得ない場合の適正な手続きを経ていない身体的拘束等は、原則として養護者および養介護施設従事者等による高齢者虐待に該当する行為とされ、本人の居住地の市町村に相談・通報が必要だと記しています。

家族が施設に尋ねられること

運営基準の定めと手引きに沿って、見学や入所の前後に、次のような点を尋ねられます。以下は確認の例で、答え方は施設ごとに異なります。

  1. 身体拘束等の適正化のための指針があるか。見せてもらえるか。
  2. 適正化の委員会を3か月に1回以上開いているか。
  3. 従業者向けの研修を定期的に行っているか。
  4. 緊急やむを得ず身体的拘束等を行う場合、どのような手順で判断し、家族にどう説明するか。
  5. 身体的拘束等を行った場合の記録(態様・時間・心身の状況・理由)はどのように残すか。
  6. 前の項で挙げた11の行為のうち、日常的に行っているものはあるか。ベッドの柵や車いすのベルトを使う場面はあるか。
  7. 落ち着かない行動がある場合に、拘束以外でどのような工夫をしているか。

施設の選び方や入所の条件は、特別養護老人ホームの入所要件と介護保険施設の比較で確認できます。このページでは、施設の優劣は扱いません。

疑問があるときの相談先

  • 施設の管理者・相談窓口: まず事実関係を尋ねます。
  • 本人の居住地の市町村: 手続きを経ていない身体的拘束等は、原則として高齢者虐待に当たるとされ、相談・通報の対象です。通報の流れは高齢者虐待の通報先で確認できます。
  • 苦情の窓口: 市町村・都道府県・国民健康保険団体連合会(国保連)・地域包括支援センターの役割の違いは介護サービスへの苦情・相談の窓口で確認できます。

未確認のまま扱っている事項

  • 老人保健施設、介護医療院、有料老人ホームなどの運営基準の条文は、個別には確認していません。
  • 個別の施設での拘束の実施状況や、家族への説明の実際の方法は確認していません。
  • 入所契約書や重要事項説明書に、拘束の同意をどう書くかは確認していません。
  • 個別の事案が虐待にあたるかどうかの判断は行いません。

よくある質問

Q. 介護施設では、身体拘束は禁止されていますか。

運営基準は、入所者または他の入所者等の生命または身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(身体的拘束等)を行ってはならないと定めています(特別養護老人ホームの基準は第11条第4項)。原則として禁止で、例外は緊急やむを得ない場合に限られます。

Q. 「緊急やむを得ない場合」は、どんなときに認められますか。

厚生労働省の手引きは、切迫性(本人や他の利用者等の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高い)、非代替性(身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がない)、一時性(行動制限が一時的なもの)の3つの要件をすべて満たすことが必要とし、本人・家族や関係者で検討、確認し、記録するとしています。要件を満たすケースは極めて少ないとされています。

Q. 施設が身体拘束をしたら、家族に知らされますか。

運営基準は、身体的拘束等を行う場合の態様・時間、その際の入所者の心身の状況、緊急やむを得ない理由の記録を、施設に義務づけています。家族への説明の具体的な方法は施設ごとに異なるため、入所の前に、拘束を行う場合の説明と同意の取り方を尋ねておけます。

Q. 施設の身体拘束に疑問があるときの相談先はどこですか。

施設の相談窓口や管理者に尋ねるほか、手続きを経ていない身体的拘束等は原則として高齢者虐待に当たるとされ、本人の居住地の市町村に相談・通報できます。苦情の窓口の違いは介護サービスへの苦情・相談の窓口、通報先は高齢者虐待の通報先で確認できます。

公式根拠

確認日: 2026年10月15日。個別の施設の評価・紹介・個別の事案の判断は行いません。実際の相談先は、お住まいの市区町村・地域包括支援センターでご確認ください。

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