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認知症の診断を受けたあと、介護保険とは別に、医療費の自己負担を軽くする制度と、障害者手帳の制度が使える場合があります。このページでは、精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」)と自立支援医療(精神通院医療)の違い、申請できる時期、同時に申請するときの扱い、有効期間、手帳で受けられる税の控除と割引を確認します。
手帳が交付されるか、どの等級になるかは、都道府県知事の審査で決まります。このページで見込みを判断することはできません。申請の可否は、主治医と市区町村の窓口に確認してください。要介護認定とも別の手続きです。
2つの制度の違い
| 項目 | 精神障害者保健福祉手帳 | 自立支援医療(精神通院医療) |
|---|---|---|
| 内容 | 障害の程度(1級から3級)を示す手帳。税の控除や各種の割引につながる | 精神疾患で通院による精神医療を続ける人の医療費の自己負担を軽くする公費負担医療 |
| 申請先 | 居住地の都道府県知事(市区町村の窓口を経由) | 市区町村の窓口(手続きは自治体の案内に従う) |
| 有効期間 | 2年ごとに更新の認定を受ける | 原則1年(自治体の案内による) |
| 初診からの期間 | 初診日から6か月を経過した日以後の診断書が必要 | 参照した資料では、6か月の要件は確認できていません |
表は横にスクロールできます。
精神障害者保健福祉手帳の申請
手帳は、精神障害者が居住地の都道府県知事に交付を申請できると、精神保健福祉法第45条第1項に定められています。知事は審査し、政令で定める精神障害の状態にあると認めたときに手帳を交付します(同条第2項)。障害等級は、重度のものから1級、2級、3級です(同法施行令第6条)。
申請の書類は、施行規則第23条が定めています。医師の診断書は、初めて医師の診療を受けた日から起算して6か月を経過した日以後のものに限られます。認知症の診断を受けた直後は、まだ申請できないことがあります。診断書の代わりに、精神障害を理由とする障害年金などを現に受けていることを証明する書類の写しでも申請できます。
札幌市は、申請の窓口を区役所の保健福祉課とし、申請書、診断書(または年金の証明書類)、写真、マイナンバーの確認書類、身元確認の書類を挙げています。必要書類は自治体で異なるため、お住まいの市区町村で確認してください。
自立支援医療(精神通院医療)の対象と自己負担
厚生労働省は、精神通院医療の対象を「精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者」と説明しています。治療の例として、向精神薬や精神科デイケアが挙げられています。
自己負担は、原則として医療費の1割です。所得に応じて1か月あたりの上限額が決まっています。さらに、費用が高額な治療を長く続ける「重度かつ継続」に当てはまる人は、上限額がより低くなります。厚生労働省の資料は、精神通院の「重度かつ継続」の例に、認知症などの脳機能障害を挙げています。
| 所得区分(医療保険の世帯単位) | 月額の上限 |
|---|---|
| 市町村民税所得割 23万5千円以上(年収約833万円以上) | 2万円(経過的特例) |
| 市町村民税所得割 3万3千円以上23万5千円未満(年収約400万円から833万円) | 1万円 |
| 市町村民税所得割 3万3千円未満(年収約290万円から400万円未満) | 5千円 |
| 市町村民税非課税(低所得2) | 5千円 |
| 市町村民税非課税で本人の年収82.65万円以下(低所得1) | 2,500円 |
| 生活保護世帯 | 0円 |
表は横にスクロールできます。年収は夫婦と障害者の子の3人世帯の粗い試算です。
1行目の「一定所得以上で重度かつ継続」の区分は、令和9年3月31日までの経過的特例とされています。期限つきの措置のため、期限を過ぎる前に厚生労働省の案内を確認してください。所得区分が「重度かつ継続」でない場合の上限は、この表と異なります。
対象になるのは、精神疾患の通院による治療に限られます。介護保険のサービスの自己負担は対象ではありません。介護保険の自己負担の軽減は利用者負担の上限のページで確認できます。
同時に申請するとき
手帳と精神通院医療を同時に申請する場合、豊島区は、手帳用の診断書を用意すれば自立支援受給者証用の診断書を省略できるとしています。更新のときも、手帳を同時に更新するなら、手帳用の診断書で足りる場合があります。
札幌市は、手帳をお持ちの人が同時申請を希望する場合に、精神通院医療の有効期間を短縮して、手帳の有効期間の終了日に合わせられるとしています(ただし、手帳の有効期間が1年未満の場合に限る)。診断書の取扱いや有効期間の合わせ方は、自治体で異なります。窓口で、同時に出せる書類を確かめてください。
有効期間と更新
- 手帳: 2年ごとに、障害の状態にあることについて都道府県知事の認定を受けます(精神保健福祉法第45条第4項)。更新の申請は、有効期限の3か月前から行えます(施行規則第28条第2項)。
- 自立支援医療の受給者証: 札幌市の案内では、有効期間は原則1年で、終了する3か月前から更新できます。治療方針に変更がなければ、診断書の提出を2年に1度に省略できるとされています。
有効期間が切れたあとの扱いは自治体で異なります。更新の時期は、手帳と受給者証に書かれた期限で確認してください。
受けられる税の控除
国税庁のタックスアンサーNo.1160によると、手帳の交付を受けている人は、所得税の障害者控除の対象です。障害等級が1級の人は特別障害者、2級・3級の人は障害者になります。
| 区分 | 控除額 | 手帳の等級 |
|---|---|---|
| 障害者 | 27万円 | 2級・3級 |
| 特別障害者 | 40万円 | 1級 |
| 同居特別障害者 | 75万円 | 1級で、納税者または家族と同居している同一生計配偶者・扶養親族 |
表は横にスクロールできます。
控除を受けられるのは、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族が障害者に当てはまる場合です。親を子が扶養している場合は、子の確定申告で使える可能性があります。住民税や相続税などの扱いは、市町村や税務署で確認してください。手帳がなくても、市町村長の認定を受ける「障害者控除対象者認定書」の道があります。詳しくは障害者控除対象者認定書のページを見てください。
受けられる割引
長野県は、手帳で受けられる生活上の優遇措置として、NHK受信料の免除、携帯電話料金や公共交通機関料金の割引、生活保護の障害者加算などを挙げ、詳しくは市町村の窓口や各企業に確認するよう案内しています。豊島区は、都営交通の無料パスなどのサービスを案内しています。
鉄道では、令和7年4月1日からJR東日本などで精神障害者への旅客運賃割引制度が始まりました。豊島区の案内によると、割引を受けるには、手帳に旅客運賃割引区分の記載が必要です。割引の内容と対象は、自治体と事業者ごとに異なります。実際の内容は、市区町村の窓口と各事業者で確認してください。
申請の前に確認すること
- 診断を受けた日(初診日)から6か月を経過しているか
- 主治医が手帳用の診断書を書けるか(書ける医師の条件は自治体の案内で確認)
- 同時に自立支援医療も申請するか(診断書を兼ねられるか、窓口に確認)
- 所得区分と、「重度かつ継続」に当てはまるか
認知症の診断後の全体の流れは認知症の診断後の介護の進め方、受診先の選び方は認知症疾患医療センターのページにあります。金銭管理の支援は日常生活自立支援事業のページで確認できます。
公式根拠
このページの内容は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(第45条)、同施行令(第6条)、同施行規則(第23条、第28条)、厚生労働省「自立支援医療制度の概要」、同「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」、国税庁タックスアンサーNo.1160 障害者控除、札幌市「心に病のある方へ」、札幌市「自立支援医療(精神通院医療)」、豊島区「自立支援医療(精神通院医療)等」、豊島区「精神障害者保健福祉手帳」、長野県精神保健福祉センター「精神障害者保健福祉手帳」で確認しました(確認日: 2026年10月12日)。窓口、必要書類、割引の内容は自治体ごとに異なります。申請の前に、お住まいの市区町村で確認してください。
よくある質問
認知症と診断されたら、すぐ手帳を申請できますか
手帳の診断書は、初めて医師の診療を受けた日から6か月を経過した日以後のものに限られます。診断の直後は、6か月を過ぎるまで待つ必要がある場合があります。
手帳と自立支援医療は、どちらか一方だけでもよいですか
別々の制度のため、どちらか一方だけの申請もできます。同時に申請すると、診断書が1通で済む場合があります。
手帳があると介護保険の自己負担も減りますか
参照した資料では、手帳そのものが介護保険の自己負担を減らすという記載は確認できていません。介護保険の軽減制度は別の制度です。
家族が代わりに申請できますか
豊島区の案内には、代理の人が申請する場合の本人確認書類が書かれています。必要な書類は自治体で異なるため、窓口で確認してください。
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